認知行動療法③ 認知修正に向けたケース3例
深夜に魚釣りに出かけてテトラポッドの上で不毛な釣れない釣りをしていたら、ポケットからスマホを落とし救出不可能になりました。
現代人にとってスマホは命より重いですよね。そこまで行くと絶望を越えて何か楽しくなってくるんですよね。もうテンションMAX状態のアドレナリンバッキバキで、最高にハイテンションな岐路についたバラキです。
人って苦境に立たされた時に意外と活力が沸いてきたりするものなんだなと実感しました。
これも自分の中で考え方の転換が出来たからなのかもしれません。
この窮屈な現代社会からの脱却。スマホに縛られていた人生に自由を与えられた。
生まれ変わって新たな人生を刻んでいけばいいじゃあないか、そのように考えていく中で思考がどんどんクリアになっていく感覚を覚えたんですよね。
思えば人は常に何かに縛られていすぎで人間関係や仕事の悩みなどもあるけど、生きるか死ぬかといった生死に関わるようなことが希薄になりすぎていて狭い世界の中で閉ざされた思考がそうさせているんじゃないでしょうか。
世界は広いのです。時には全てのしがらみから思考だけでも良いので開放させてあげてみてはいかがでしょう。
それでは本題の、今回は認知行動療法③ということで、認知へのアプローチの実際に今まで見てきた人の悩み・状況からいくつか紹介していきたいと思います。
前回の振り返り
さて、その前に少しだけ前回の振り返りをいたしましょう。
人にはそれぞれ考え方の癖や傾向がありましたね。これはその人の個性でありそれ自体が問題なのではありません。その傾向を理解することによって気分の安定に役立つということを説明しました。
それから、7つのコラムについて。その時の「状況」を取り出して「気分」を明確にする。その際に考えた「自動思考」そしてその「根拠」となるものを挙げ「反証」を考える。根拠と反証をつなぎ「適応思考」をまとめていく。その後の「気分」はどうなったのかを書いていく。
という作業をしていきました。
それでは今回、実際に例を紹介していきましょう。
会社員Aさん30代男性のケース
「状況」
3月21日、職場で上司に声をかけられた。今日までにまとめておくようにと言われた書類の整理が出来ているかの確認であったが、まだまとめきれていなかったため「なんだ。まだ出来ていないのか。こんな簡単なことも出来なくて恥ずかしくないのか」と他の職員がいる前で言われた。
「気分」
落ち込み70%
憂鬱60%
不安60%
悲しい80%
「自動思考」
・自分はなんてダメなやつなんだ。
・皆からもきっとダメなやつだと思われているに違いない。
(思い込み・レッテル張り)
「根拠」
・仕事を期日までに出来ていない
・皆の前で指摘された。
「反証」
・毎回期日までに仕事をこなせていない訳ではない
・前日、体調が優れず仕事に集中できなかった
・職場には仲の良い職員も多く、一緒に食事に行って楽しむこともあり、仕事が丁寧だと褒められたこともある。
「適応思考」
・仕事を期日までにこなすことが出来ずにみんなの前で上司に指摘された。しかし、毎回出来ていない訳ではなく、昨日は体調が悪くて今回はうまくいかなかったが次回からは体調管理をしっかりしていき、しっかりとこなしていこう。丁寧に仕事をしていると言われたこともあり、今回のことだけでダメなやつとは思わないかもしれない。
「気分」
・落ち込み30%
・憂鬱20%
・不安30%
・悲しい40%
自分がダメなやつだと後ろ向きに考えてしまい、その後の仕事に対する憂鬱な気持ちが強かったが、適応思考から前向きに今後のことを考えることにもつながっており、気分も幾分楽になっている。
20代女性のケース
「状況」
3日前、彼氏が浮気をしていることが分かり、ショックで泣きわめきながら口論になった末別れることになった。彼はあやまっていたが浮気相手と付き合っていると言っていた。
「気分」
悲しい100%
落ち込み80%
「自動思考」
・もう終わりだ。悲しい死んでしまいたい。
・何で浮気なんてされなきゃいけないの
「根拠」
・彼氏が浮気をしていた
・彼氏と別れた
・浮気相手と付き合っていると言っていた
「反証」
・浮気するような相手と別れて正解
・知らないままずるずる関係を続けているよりは良かった
・他にも男性は35億人いる
「適応思考」
彼氏が浮気をして別れた。悲しくて死んでしまいたくなったけれど、浮気をするような人とは別れて正解。知らないまま付き合い続けるよりもましだと思うし、彼だけが男性じゃなくブルゾンちえみも35億の男性が世界にはいるといっていた。これから素敵な男性に出会えるかもしれない。
「気分」
・悲しい40%
・落ち込み30%
・怒り50%
失恋したショックでかなり落ち込んでいる様子でしたが、振り返る中でだんだん彼氏に対する怒りが沸いてきていました。ふっきれて新しい出会いに思いを向けられるようになり、彼氏よりもいい人間を見つけるんだと怒りを活力にしているような様子も見受けられました。
30代女性のケース
「状況」
新型コロナの影響で好きなライブが中止。旅行や外出にもいけないし家の中で過ごすばかりでイライラしてしまう。先日あまり人がいない状況だから大丈夫だろうと外食をしたが、それを友人に話したら「よく外食なんていけるね」と嫌味を言われた。
「気分」
イライラ70%
不安60%
罪悪感30%
「自動思考」
・たまには外に出たいしこっちだって我慢してるのにそんな言い方しなくても良いのに
・コロナのせいで全然趣味も楽しめない。いい加減にしてほしい
・外食したことで感染の可能性があるかも・・・大丈夫かな
「根拠」
・不要不急の外出は控えるように国が訴えている
・友人によく外食なんていけるねと言われた
「反証」
・店内に人は少なかったしマスクも着用して食べに行った
・友人にはそこまで人がいなかったことやマスクを着用して注意して行ったことは伝えていない
・飲食店に行くのを禁止されている訳ではない
・友人もいろいろと我慢してイライラしていたりするのかもしれない
「適応思考」
不用意に外出が出来ない状況でイライラし、食事に行ったことで友人に嫌味を言われてストレスがたまる。だけど飲食店に行くことが禁止されている訳ではないし注意して行っているし、友人に言われたこともこちらが十分説明をしていなかったことや、友人も同じようにイライラしているのかもしれない。だからそれ程気にしなくてもいいかもしれない。
「気分」
イライラ30%
安心50%
自分ばかり責められているような気になり、イライラした様子でしたが冷静によくよく考えてみると別に自分は罪を犯したわけでもないし、出来る対策はしっかりした上での行動であったと自信に繋がっています。
また、自分だけの視点ではなく友人の状況にまで配慮したような発言もみられました。内なる自分にだけ向いていた視点が、外に向けられ広い視野で考える余裕も生まれていた様子でした。
最後に
新型コロナの流行で同じようにストレスを抱える人は多いと思います。
そんな時には7つのコラムに当てはめてみるのも良いかもしれません。
私自身も不要不急の外出を控えるようにする中で、逆に家で出来ることはなんだろうかと考えるうちにブログを書くということや、絵を描くという趣味を見つけることが出来ましたし、ただただ悪いことばかりではないことを実感しています。
その環境の中で出来る工夫をしていくことで、前向きな思考にすることは誰でもできると思います。
どんな状況でも同じような経験をして、それでも乗り越えられた人の体験を聞くことも参考になるかもしれません。
家でもスマホやパソコンで情報を仕入れることは可能ですし、こういう状況をむしろ良くとらえることが出来れば普段出来なかったことが出来てラッキーと思えることもあるでしょう。
実りある人生に出来るよう、柔軟な思考、客観的に自分を見つめることなどを意識して考えたり、行動していくことが大切ですね。
心がスッと軽くなる認知行動療法ノート 自分でできる27のプチレッスン [ 福井至 ] 価格:1,320円 |
さてさて、それでは今回はここまでにしましょう。
3つの例を紹介していきましたが、状況によってはなかなか認知をどう工夫したところで辛いものはつらい、考え方によってどうこう出来るものではない。ということはもちろん多々あると思います。
それは承知の上で、そんな時には「行動」編で別な対処ができ、気持ちを安定させられる方法もありますので次回からはいよいよ「行動」編に入っていこうと思います。