認知行動療法② 考え方の癖があっても大丈夫
券売機でお釣りを取り忘れて店員に「忘れてますよ」と1日に2回も言われてしまったことがあるバラキです。
1回ならまだしも1日に2回もやらかしてしまい落ち込みましたね。「日に2度忘れる馬鹿がいるか」と範馬勇次郎に怒られてしまいそうです。
今回は認知行動療法②ということで前回に引き続き、認知へのアプローチを通して少しでも楽な考え方を持てるようにしていく方法を紹介していきたいと思います。
前回は認知行動療法とは何か、認知は人それぞれ違うということ、認知へのアプローチを簡単に伝えていきました。
今回は自分の思考の癖についても考えていき、より具体的に認知への働きかけをみていきます。
思考の癖
認知の仕方は前回説明したように人によってそれぞれ異なります。考え方にはその人の特徴・癖があります。その癖を自分自身で理解しておくことで、気持ちを整理するきっかけをつかむことが出来ます。
あなたはどんな考え方の癖があるのか、ざっくりと6つのタイプを紹介していきますので当てはまるものがあるか見ていってください。
A「先読み」
この傾向が強い人は先のことを考え、困った事態にならないように準備をするので、ミスや失敗が少なかったりします。また、ミスや失敗が起きても対策を立てていることで大事にならなかったりします。
ただ、悲観的なことばかりを先読みしてしまうと、自分を苦しめることにもつながってしまいます。
B「べき思考」
この傾向が強い人は意志が強いタイプともいえます。自分のやるべき事や役割を理解でき、決めたらやり通す強さを持つので、周囲から頼りにされることが多かったりします。
ただ、自分へのハードルを上げすぎてしまったり、必要以上に役割を増やしてしまうと自分自身を苦しめることにも繋がってしまいます。
C「思い込み・レッテル貼り」
この傾向が強い人はすぐに結論を出すので、割り切りが良く、躊躇せずに前進することが出来ます。
ただ、悲観的な思い込みや決め付けが強くなってしまうと、他者の意見を取り入れられず、自分を苦しめることにも繋がってしまいます。
D「自己批判」
この傾向が強い人は、他人のせいにしたりせずに、「何がいけなかったのだろう」と原因を振り返ることが出来る強さを持っているので、自分を高めていくことが出来ます。
ただ、過度に自分だけを責めてしまうと、自分の良い部分も認められず、冷静な自己評価が出来なくなってしまいます。
E「白黒思考」
この傾向が強い人は、ものごとの判断基準がはっきりとしているので、スピーディに仕事や物事を進めることが出来ます。
ただ、極端な判断をしてしまうとあいまいな部分を許容できなくなったり、その結果敵を作ってしまったりします。
F「深読み」
この傾向が強い人は、相手の表情を読み取ったり言葉以外のニュアンスを察することが出来るので、気配りのできる優しいタイプと言うことが出来ます。
ただ、他人の表情ばかりを気にしてしまうと、自分をうまく表現することが難しくなったり、些細な言動で傷ついたりしてしまいます。
以上。A~Fの思考の癖です。
自分にはどんな思考・考え方の癖があったでしょうか。
ちなみに私はDとFの傾向が強いかなぁと思います。
それぞれの癖には一長一短があり、どれが優れていて、どれがだめとかいうことはありません。何より自分の傾向を把握しておくことが大事です。
7つのコラム
認知行動療法では7つのコラムという方法があります。
以下にその7つについての説明をしていきます。
①状況
状況とはそのまま、その時の状況・場面です。出来るだけ詳細に何日の何時にどこで誰と何をしたのかという事実を書いていきます。
ここではあくまでもその状況を書くだけで、思ったことや気持ち・憶測などは書かないようにします。
「5月15日、会社に出勤し上司にあいさつしが返事がなくて悲しくなった。たぶん嫌われている」
では「悲しくなった」気持ち・「たぶん嫌われている」という憶測の部分は省いて事実だけを書いていきましょう。
「5月15日、会社に出勤し上司にあいさつしたが返事がなかった」
といったように。
②気分
気分はその状況があった際に感じた気分を書きます。気分は複雑には書かないように、一言で表現できるものを。「不安」「落ち込み」「怒り」「悲しみ」「怖い」などといった具合に書いていきます。そしてそれがどの程度の強さであるかを0~100でそれぞれに強弱をつけていきます。
最強に不安すぎてマジやばい!っていう場合は100
不安だけど別にそんなに対して・・・っていう場合は20
この数値はそんなに考えすぎずに自分の思う感覚で付けていったら良いかと思います。
③自動思考
前回にも軽く紹介しましたが、自動思考とは、自動的に頭の中に浮かんだ考えです。
これは長年の経験・生き方を反映しているもので、人によって異なる認知となります。考え方の癖がここで出てくるかと思います。
自動思考を書いたらその内容はどのタイプの癖に当てはまるのかも合わせて書いておくと良いです。
「たぶん嫌われているんだろう・自分はどうせ仕事ができないし」
【思い込み・レッテル張り】
といった感じです。
④根拠
自動思考を書いたら、その考え方になった事実を書きます。これは推測や気持ちは書かずにあくまでも客観的にそう判断する事実を書いていきましょう。
⑤反証
根拠に対する反証です。これも憶測ではなく事実をもとに考えていきましょう。
ちなみにここが一番難しく、一番大事なところだったりします。
この反証を多くひねり出すことが認知を修正する上で役立ちますので、是非ともここでは出来るだけ多くひねり出してください。
⑥適応思考
根拠と反証をつないで自動思考とは違った思考を作ってみましょう。
分かりにくいので例を提示します。
「上司にあいさつしたが返事がなかった。嫌われているにちがいない」
という状況から
「あいさつの返事がない」が根拠
「仕事が忙しいと言っていた。今までは返事があった。」が反証
ここで根拠と反証を、しかしという接続詞をいれてつないでみます。
「あいさつをしたが返事がなかった。しかし、仕事が忙しいと言っていたし、今までは返事があった。だから別に嫌われている訳ではないのかも」
これが適応思考になります。
⑦気分の変化
最後に気分の変化を表してみます。
最初に出てきた状況からの気分
適応思考を考えた後の気分
その変化です。
嫌われていると感じていることを、仮に「不安50、落ち込み80」としてみます
適応思考を作ったあとでは「不安20、落ち込み50」というように変化があると思います。
これは必ずしも下がる訳ではありません。思い返す中で余計に不安を高めることもあります。
また新たな気持ちが出てくることもあるでしょう
安心という気持ちが出てくることも怒りという気持ちが出てくることもあるでしょう。
自分の気分を乱された状況を挙げてみて、それを7つのコラムに書き起こすという作業をぜひやってみてください。
もっと例を出していこうと思っていましたが、長くなってしまったのでこのぐらいで今回は終わろうと思います。
次回は・・・どうしよう今まで見てきた人の中でこんな例があったよーというのを個人情報に配慮しながらいくつか紹介していこうかな。
やはり例があったほうが具体的に提示できるので分かりやすいでしょう。
さてさて、それではゆっくり休息していきましょう。